1度目の緊急事態宣言時は、何も準備ができないままにテレワークに突入した企業も多かった。ではその後、環境を整えた企業はどれほどあったのか。環境の整備が進んでいない企業が多いこと、コロナ収束後はテレワークを推奨しない企業が9割近くに上ることが調査でわかってきた——。
テレワークによる出勤7割減は難しい
緊急事態宣言の再発令で政府は「テレワークによる出勤者7割削減」を企業に要請している。だが出勤時間帯の通勤客はそれほど減少していないという調査もあり、7割削減は難しいようだ。
それでも新型コロナウイルスの感染拡大で大手企業を中心にテレワークを軸に、在宅勤務と出社のミックス勤務やスライド勤務(時差通勤)が広がり、全員がそろって定時に出社するという働き方が大きく変わったと言われる。
一方で2020年春の緊急事態宣言解除以降、通常勤務に戻った企業も多く、テレワークが浸透していない実態もある。労働政策研究・研修機構の「新型コロナウイルスによる雇用・就業への影響等に関する調査」によると、2020年4月のテレワーク実施企業は56.7%だったが、9月は35.1%と20ポイント程度低下している。南関東地区に限定すると4月の79.7%から9月は58.9%に低下している。
テレワーク実施率は2割程度
働く人(就業者)ベースで見るともっと少なくなる。内閣府の調査(2020年12月24日)によると、2020年5月の全国平均のテレワーク実施率は27.7%だったが、12月は21.5%と6ポイント低下。東京都23区の5月は48.4%であるが、12月は42.8%と下がっている。
感染者の多い都市部と地方圏のテレワーク実施率に大きな開きがあるのは当然としても、テレワーク実施企業が多くても全社員が利用できるわけではないことがわかる。さらに特徴的なことは、緊急事態宣言が解除されると、テレワーク実施企業と利用する社員が減少傾向にあることだ。