約4万5000人のグループ社員を対象に希望者の募集
3メガバンクグループの一角、みずほフィナンシャルグループ(FG)の“行動変容”が金融界で一躍注目の的となっている。
坂井辰史社長が2020年10月6日に週休3日・4日制の導入を表明し、労使協議を経て12月にはみずほ銀行をはじめ信託銀行、証券など約4万5000人のグループ社員を対象に希望者の募集を始めた。
本人希望の限定付きとはいえ、金融界で最も硬直化した日本型の制度が根付く銀行大手が、先鋭的な施策に打って出たインパクトは大きい。坂井社長は「コロナで浮き彫りになった気付きを変化につなげる」と導入の狙いを強調する。
3メガバンクで初の試みであるのは言うまでもない。
金融界でも週のほぼ半分の休日を取得できる制度は、SOMPOホールディング(HD)傘下のSOMPOひまわり生命保険やSMBC日興証券が育児・介護者や60歳以上と対象を限定して導入しているくらいで、事業会社を含めても事例は少ない。
給与は週休3日で従来の8割、週休4日は6割に減る
みずほFGは併せて、リモートワークの推進、サテライトオフィスの拡大、フレックスタイムの対象者の拡大と、場所や曜日・時間にとらわれない柔軟な働き方を推進する方針を発表した。
休日が増えた分、リカレント(学び直し)や資格取得などでスキルアップを図り、2019年に解禁した副業と併せて、今後の業務の充実やセカンドキャリア形成につなげることを後押しする。給与は週休3日で従来の8割、週休4日は6割に減る。
ただ、銀行が置かれた現状の厳しい経営環境もあり、従来の殻を破った働き方改革も一般の目には人件費圧縮(コストカット)、さらには人員削減という負の側面に向かいがちだ。
確かに、コロナ禍以前からみずほFGに限らず3メガバンクは本業での稼ぐ力が落ち、事業モデルの大転換を迫られてきた。日本銀行によるマイナス金利政策の副作用が国内事業を直撃し、大量採用した人員を全国や大都市圏に張り巡らせた店舗に配置する伝統的な事業モデルは立ち行かなくなった。
さらに、人工知能(AI)や金融とIT(情報技術)が融合するフィンテックの新興勢力による市場参入のほか、業務面においてはコンピューターでオフィスの定型業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の導入といった技術革新が人手を介した伝統的な事業モデルに「NO」を突きつけた。