「リモート型職員」「契約社員の正社員化」は生保大手で初
その一方で同社は、主に定型の事務業務に当たる約2500人を抱える契約社員について、2021年4月から希望者全員、約2000人規模で総合職の地域型への正社員化を進める。リモート型職員、契約社員の正社員化はどちらも生保大手では初の試みだ。
人余りの3メガバンクと生保大手の事情は異なり、生保大手は将来的に経営を支えるリーダー層が手薄だ。
明治安田生命の場合、現状で総合職の数は40~50歳代が20~30歳代を上回り、10年後、さらにその先の次世代リーダーの担い手が大幅に不足するのは避けられない。総合職のうちで国内外での転居・転勤がある全国型は、40歳代は約1400人いる。これが10年後には800人に減る。
コロナ禍を抜きにしても、将来を見据えた場合、人材力の低下に強い危機感を抱かざるを得ない。
このため、本来、2020年度からスタートするはずだった中期経営計画についてはコロナ禍で1年先送りしたものの、並行して実施する計画だった「人事マネジメント改革」だけは、当初の予定通りに2020年度からの実施に踏み切った。そこでは、契約社員の正社員化をはじめとした人事運用の改革を相次いで打ち出している。
東京海上はエリア職の「社内副業」を推進
損害保険大手もウィズコロナ時代を見据えた新しい働き方の導入には積極的だ。
東京海上日動火災保険は2020年9月に、地方に勤務する転居・転勤のない総合職のエリア職が本社企画部門のプロジェクトに参加できる制度を創設した。通常の業務から一定の時間を割いてリモートで参加でき、エリア職のキャリアアップを支援する「社内副業」と同社は位置付ける。
このほかにも損保大手各社は、契約者らからの商品への問い合わせなどの対応に当たるコールセンターの業務でも在宅勤務の導入を進めつつある。この分野は、個人情報を扱う関係でこれまで導入が難しいとされてきた。しかし、セキュリティー面を強化した受電対応パソコンの導入などにより在宅勤務の導入を可能にしたのである。