大企業でそこそこ稼いでいるのに貯金がまったくできていない。老後が不安。そうした30代女性の貯まらない理由を、セゾン投信の中野晴啓さんは鋭く分析。老後資金の解決策を提示する——。
年収800万円クラスの女性管理職たち
欧米先進諸国に較べて、まだまだ男性優位が根強く残る日本社会ですが、それでも少子高齢化の進展もあって女性が貴重な労働資源とみなされるようになり、ようやくこの国でも女性活躍が当然在るべき姿と捉える社会風潮は高まってきています。
現状では大企業での女性経営者は少数ですが、中間管理職クラスにはバリバリとチームを引っ張るカッコいいキャリア女子が一般化しつつあるのは確かです。大手企業で中間マネジャークラスだと年収は800万円程度がイメージされ、30代のキャリア志向女子が目指すポジションとして、この辺りを意識していることでしょう。そして僕の周辺にもこうした逸材の前向きガンバリ女子が間違いなく増えています。
稼いでいるのに貯まらない理由は「中途半端なエリート意識」
現状我が国サラリーマンの平均所得は400万円台で、平均世帯所得でも550万円程度ですから、800万円の所得を得る30代は相対的にはかなりの高収入だと言えましょう。ということは、我が国において30代800万円女子はその収入に見合うそれなりのプロフェッショナル(専門性)や卓越した仕事力を持った人材として評価されているはずで、総じて自己評価も高くなる。要するにちょっとしたエリート意識が芽生えてしまいがちです。
「わたしは社会や組織から選ばれている」と自覚してしまうと、選ばれた側に居るという高揚感からライフスタイル全般もそのステイタスにふさわしい自分を志向するようになるわけですが、それが往々にして身の丈を超えた水準を求めてしまうのです。