企業型の確定拠出年金にしても、個人型にしても、急上昇相場の恩恵で含み益が大きくなっている人が多いのではないでしょうか。このままほったらかしておいていいのかという迷いに、セゾン投信の中野晴啓さんが答えてくれました――。
お金持ち
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投資への意識が高まっている

2020年はほとんど1年を通じて私たちの生活は様々な制約を受けました。経済活動は停滞を余儀なくされて、世界経済も異例の縮小を強いられました。ところが厳しい実体経済の渦中にもかかわらず、主要国の大胆な金融緩和政策によって株式市場には余剰マネーが流入。最大規模の感染者に苦しむ米国では、2月から3月にかけて1万ドル超もの急落を招いたダウ平均株価が、年末には3万ドルを超えて最高値を更新する急回復を見せました。日本でも日経平均が30年ぶりの高値を付けるほどの賑わいで新年を迎えています。

さてコロナ禍は私たち生活者に新たな生活様式を定着させると共に、人生観や価値観に大きな変化を及ぼしていることも、読者の皆さんは感じていることでありましょう。そこへの論述は次回以降のコラムに譲るとして、将来不安の更なる惹起によって、政府が標榜している「貯蓄から資産形成へ」の世間の関心が高まり、「iDeCo」や「つみたてNISA」といった非課税制度を活用した長期積立投資へ一歩を踏み出す生活者は着実に増加の一途をたどっています。

2022年から企業型DCと個人型DCの両方に拠出可能に

また伝統的な退職金制度の代替を目的とした企業型確定拠出年金制度(DC)を導入する会社も多くなり、老後に向けた財産作りへの意識は、コロナ禍で否応なく高まったと言えましょう。

ところで確定拠出年金は、企業が従業員に向け用意したものを企業型DC、「iDeCo」は個人型DCとも呼ばれ、これまで企業型DCに加入している人は個人型に参加できなかったのですが、2022年からは全体の金額枠内で企業型加入者も個人型、つまり「iDeCo」への拠出が可能となり、今後「iDeCo」加入者が激増して、ますます非課税制度による長期資産形成は一般化していくことになりそうです。