老後に向けてどう備えればいいのか。経済コラムニストの大江英樹氏は「まっさきに見直すべきは保険だ。保険への支払いより、手元に現金を残すことを優先したほうがいい。私が入っている保険は3つしかない」という――。(第2回/全2回)
※本稿は、『定年前、しなくていい5つのこと 「定年の常識」にダマされるな!』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
老後に必要なのは「保険」ではなくて「現金」
さて、ここまで投資や資産運用についてお話ししてきましたが、定年後のお金について考えた場合、増やすこと以上に大切なことは「無駄を無くす」ということです。
ただし、この「無駄を無くす」ということ、「節約をしなさい」という意味ではありません。節約という言葉には、必要な物でも我慢するという響きがあります。でも定年が近づいた人、定年を迎えた人にとっては、やっとこれからやりたいことができるようになったのです。
趣味や旅行、外食といった楽しみも節約のためにあまりしないということであれば、いったい何のために今まで働いてきたのでしょう。そういう人生を楽しむためのお金はあまりケチる必要はないのです。それよりも、知らないうちに支出してしまっている「無駄」を無くすべきです。
ではいったいどういうものが無駄なのでしょうか?
ちょっと身の回りで考えてみましょう。ほとんど行っていないスポーツジムや会員制クラブの会費、現役時代の習慣でなんとなくとり続けている新聞や雑誌、契約した時についているスマホのオプションプラン等々、案外気が付かないところでこうしたあまり意味の無い支出があるはずです。
これらをちょっと見直すだけで最低でも月に1~3万円くらいの無駄を省くことができます。