国民健康保険に入っていればそれでほぼ十分

公的な社会保険は国が運営する制度ですから、本人が負担する保険料に加えて、かなりの額の税金が投入されています。しかも運営する側は手数料を取っていません。民間保険会社は言うまでもなく営利企業ですから、加入者が払い込んだ保険料の中から社員の給料や利益がまかなわれることになります。

その証拠に、たとえば医療保険を例に取ると、民間の場合は加入する年齢が高ければ高いほど、保険料は高くなります。これは年齢が上がると病気のリスクが高くなるので当然です。

ところが国の医療保険である健康保険は、現役世代の負担は3割ですが、75歳以上の後期高齢者になると現役並みの所得者以外は1割になります。2022年度からは一定所得以上の人は2割に引き上げられる方針ですが、いずれにしてもリスクの高くなる人ほど負担が少ないのです。

これはまさに営利を目的としない国が社会保障制度として税金をつぎ込んで運営されているからです。

したがって、社会保険に入ることはとても重要であると同時に、ある一定以上の年齢になってくると、これに入っていれば民間の保険はそれほど加入の必要性は高くないと言ってもいいでしょう。

入るべき保険が備えている3つの条件

次に私が入っている自動車保険です。中でも特に重要なのは対人・対物の賠償保険でしょう。

なぜこれらが大切なのかは、保険の本質を考えてみるとよくわかります。私は保険に入るべき、または入らなければならないケースというのは以下の三つの条件が揃った時だと思います。

①滅多に起こらないこと
②でも、もし起こったら到底自分の蓄えではまかなえないこと
③そして、それがいつ起きるかわからないこと

このように考えると、自動車保険の対人賠償というのはいずれの条件にも当てはまります。死亡事故なんて自分が運転していて滅多に起こることではないでしょうが、もし起こしてしまったら何億円もの賠償はとても自分では払いきれません。しかもどんなに気を付けていても運転している限り、それはいつ起きてもおかしくはありません。

つまり、これらは自分ではコントロールが難しいリスクだからこそ、保険という仕組みに頼るしか方法はないのです。火災保険や地震保険もほぼこれに近いと言ってよいでしょう。

ところが同じ自動車保険でも、車両保険は保険料も高いので入らないと言う人がいます。これは合理的な判断です。なぜなら車庫入れの時にこすったりすることは割と起こりうることですし、その程度の修理代ならそれほど高くありません。

したがって起きる確率の高い場合は保険料が高いので、それを払って入ることはせず、自分の車が傷ついたら自分のお金だけで修理をしてもよいのです。