「来年の衆院選には出馬をし、国民の信を問いたい」
24日の記者会見で安倍氏は、結果としてウソの国会答弁を繰り返したことに「道義的責任を痛感している」と語り「深く深く」反省すると頭を下げた。
また25日の国会では「秘書を問い詰めて修正していれば問題がなかった。忸怩たる思いがある」と言って唇をかんだ。
一連のやりとりも、閣僚の不祥事などが発覚した時、「任命責任は首相である私にある」と言いながら、自らの政治責任は取らなかった首相時代の安倍氏とかぶる。
2日間のマスコミ、野党の追及は、決定的なボロを出すこともなく終わった。安倍氏は逃げ切った、という感触をつかんでいるのかもしれない。国会終了後、記者団の質問に答え、「弁明の機会を与えていただき、感謝している。説明責任を果たすことができたと思っている」と自己評価。さらに「来年の衆院選には出馬をし、国民の信を問いたいと思う」と断言した。
当然ながら野党側は「『秘書がやりました。私は知らない』だけ。到底納得できない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)などと、2021年も追求の矛先を緩めない考えだ。ただ、新たな攻め手があるわけではない。対野党対策という意味では、年内に一定の説明責任を果たした実績をつくったことで、安倍氏はポイントを稼いだといっていい。
自民党内で「No More Abe」の空気が充満しつつある
しかし、足元の自民党はそういうわけにいかない。党内では「No more Abe」の空気が充満しつつある。
安倍氏は、ことし8月末、持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に首相を辞任することを表明。当時は「潔い」という評価もあり、政権末期に支持率が大幅に回復。その後、バトンを受け継いだ菅義偉首相も高支持率でロケットスタートを切ることができた。ということで、9、10月ごろ、党内における安倍氏の評価は、党の窮地を救った英雄に近かった。
そんな状況に安倍氏も気をよくし、いち早く夜会合への出席を「解禁」。宴席では近しい人物に「来年の衆院選が終われば派閥(細田派)に戻る。会長として戻るつもりだ」と明言することも少なくなかった。
この経緯は11月6日に配信した「『10年後も闇将軍として君臨か』首相を辞めてから活発に動く安倍氏の今後」に詳しいのでご参照されたい。