首相自らが「更迭」という言葉を使うことは珍しい
「緊急事態宣言下の中で、深夜まで会食をして、今日まで明らかにしませんでした。こうしたことを受けて田野瀬太道文部科学副大臣を更迭しました。誠に遺憾だと思います。国民の皆さんにお詫びを申し上げたいと思います」
2月1日夜9時20分、菅義偉首相は記者団の前で深々と頭を下げた。この記者対応は、緊急事態宣言の延長方針を表明するためのものだったが、記者の関心も、国民の関心も、松本、田野瀬、そして大塚高司の3氏が自民党を離党したことに集中していた。
松本氏が夜遅くまで銀座のクラブに滞在していたことは1月下旬に分かっていたが、この日になって同僚2議員も同席していたことが判明。そろって離党となった。
不祥事を起こした議員が、政府や党の役職から事実上更迭されることは、しばしばある。しかし、形式的には当事者が辞表を持参し、首相が受理する、という「自発的辞任」という形を取ることが多い。今回のように首相自らが「更迭」という言葉を使うことは珍しい。それだけ、国民を欺いた3人に対する菅氏の怒りが激しかったということだろう。
「ウソ」の松本氏らは離党、「キャバクラ」の遠山氏は辞職
公明党の遠山氏の方は、一足早く、同日午前、議員辞職を表明した。松本氏ら3人も、遠山氏も、緊急事態宣言下での「クラブ活動」が批判を受けたことは同じ。松本氏は、「3人」でクラブを訪問していたことを隠し、国民にウソの説明をしていた問題が加わった。
一方の遠山氏は、資金管理団体がキャバクラなどに「飲食代」として約11万円を計上していたことも批判の対象となった。このあたりは、2月1日配信の「『批判ばかりで中身がない』菅首相を追及する蓮舫氏が自爆した根本原因」に詳しいので、参照いただきたい。
松本氏らと、遠山氏のどちらの方が「罪深い」かは、評価の分かれるところだ。だが、結果として松本氏らは「離党」、遠山氏は「議員辞職」と、責任の取り方が割れた。