「5.23」のささやきは、与野党双方から聞こえてくる
永田町で解散風が吹いている。今は、新型コロナウイルス感染者が、またも急拡大を始めている。この時期に政治空白をつくるのは常識では考えられないのだが、それでも「風」が吹いている背景には、皮肉にも野党勢力の「体たらく」がある。
「『5.23』だと思って準備を進めるしかないか」
最近、衆院議員会館の秘書たちの間からは、こんなささやきが漏れる。ささやきは、与野党双方から聞こえてくる。
菅義偉首相が4月中旬に訪米してバイデン大統領と会談、強固な日米同盟を高らかに宣言し、4月中に「デジタル庁設置法」を成立させたところで衆院解散。5月11日に公示、23日投開票……というシナリオだ。
3月中旬ごろまでは、こんな見通しはほとんどなかったが…
7月4日に行われる都議選を重視する公明党は、都議選と衆院選の同日選となるのは絶対反対だが、5月の衆院選ならば容認するという話も伝わっている。
3月中旬ごろまでは、こんな見通しを語る関係者は極めて少なかった。それが、数週間の間で劇的に状況が変わった。
発信源は、自民党の二階俊博幹事長だ。二階氏は3月22日、自民党本部で菅氏、選対委員長の山口泰明氏、二階氏側近で幹事長代理の林幹雄氏の4人で会談。その顔ぶれから見て「解散のうち合わせではないか」とざわつかせた。
二階氏は29日の記者会見で「私は衆院解散権を持っていないが、(野党が)内閣不信任案決議案を出してきた場合、直ちに解散で立ち向かうべきだと首相に進言したい」と語った。
前日に立憲民主党の安住淳国対委員長が「内閣不信任案の準備をしたい」と述べたのを受けての発言。「売られたけんかを買った」形だが、ここから「風」が急速に強くなった。