新型コロナウイルスの感染予防にはマスクが欠かせない。どんなマスクがいいのか。感染症専門医の田中雅之氏は「マウスガードだけでは飛沫の拡散は防げない。その上、マスクを間違った方法で着用している人も多い。予防効果を得るため、6つの要諦を改めて確認していただきたい」という――。
マウスガードを着けた女性
写真=iStock.com/maroke
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医療機関で「マウスガード」を見たことは一度もない

マウスガードを日常よく目にするようになりましたが、医療者である私が初めてマウスガードを見た時の違和感を、皆様にどうしても届けたく今回記事を書くことにしました。

その違和感はおそらく感染対策という観点から湧いて出た違和感なのだと思います。なぜなら、私がこれまで勤めてきた複数の病院・クリニック・在宅医療の現場で、医療者がマウスガードのみを装着して患者様と接しているところを、一度たりとも見たことがないためです。

マウスガード会見で覚えた違和感

あれは、政治家の方が記者会見をした時に装着されているのを見たのが初めての機会だったと記憶しています。そして、マウスガードを装着して、雄弁にお話しされる政治家を記者の方が囲いながら取材をしている映像を目の当たりにして、私自身は違和感を覚えました。

日本でも新型コロナウイルスが流行し、緊急事態宣言などで緊張感を持って政府も国民も正体不明のウイルスと向き合っている最中のことでした。そのような状況で、医療者としては感染対策に皆様がそれぞれに懸命に取り組む姿にある意味連日感動することもありました。

私の住んでいる東京では、通勤時の電車内が混み合っているとはいえ、静寂に包まれ、ほとんどの方がマスクを装着しています。