タテ型の洗濯機なら、洗剤を混ぜた水に洗濯物を入れて、洗濯物を軽くこぶしで押さえたときに、水が手首の上あたりまでしっかり浸っていれば合格です。

一回、手で測ってみれば感覚がつかめると思うので、やってみてください。ドラム式の場合は、先に水を入れることができないので、カラの洗濯槽にまず洗濯物を入れます。そのとき、洗濯物の量はドラムの窓の半分以下(約15リットル)までにしましょう。

それに対して、水量は最大量(25リットル)に手動設定します。水量を自分で変えられない機種の場合は、とにかく詰め込みすぎないこと。ドラムの中で叩き洗いをするので、パンパンに詰め込むと、それだけで洗浄効果が落ちます。水は多めにして、洗濯物は少なくすることが、いい洗濯の絶対条件です。

全自動からマニュアル設定に変えると、洗濯の質が変わる

水量を多めに手動で設定したり、洗剤を先に溶かしたり、と「せっかく全自動洗濯機なのに」とガッカリさせてしまったかもしれませんね。すみません、もうひとつお願いがあります。

「洗い」と「脱水」の時間を、設定し直すことです。

洗濯機のコントロールパネル
写真=iStock.com/Wako Megumi
※写真はイメージです

ふだん洗いの場合、タテ型洗濯機なら、洗い8~10分→水量多めですすぎ2回→最後の脱水3~5分を基本にしてください。

ドラム式洗濯機なら、洗い20分→注水すすぎ2回→最後の脱水3分を基本にします。じつは、クリーニング屋でも家庭と同じ洗濯機を使うことがあります。

ただし、全自動ではなく、昭和の遺産のような二槽式タイプです。これは、設備投資を節約するためではありません。昔ながらの二槽式の洗濯機のほうが、手動であれこれ設定しやすいからです。

ボクたちプロは、洗濯物一枚一枚、使われている繊維や装飾、デザインの複雑さに合わせて、最適な設定で最高の洗い方をします。ボクたちは、洗濯1回ごとに、本当に1枚しか洗いません。そのつど、洗い、すすぎ、脱水の時間を手動で変えています。

全自動洗濯機がオートマ車だとしたら、二槽式はマニュアル車。車好きが走りを追求するように、ボクたちは洗いを追求しています。ご家庭でも二槽式洗濯機がおすすめ、とまでは言いませんが、全自動の基本設定通りでなく、ちょっとアレンジしてみると、洗濯の質が変わります。

とくにドラム式は汚れの落ちがよくないので、洗いの時間を大幅に長くすることで、そのデメリットを解消します。もちろん、すすぎの水を多めにするのも忘れずに。

脱水時間を短くして得られる2つのメリット

そして、もうひとつ大切なのは、脱水の時間です。これは、どちらも短めにします。理由は大きく2つあります。

まず、脱水をしっかりしすぎるとシワになりやすいことが挙げられます。脱水時間を短くするだけで、アイロンがけが不要になる服がたくさんあります。