「私の能力、社外で通用しないのでは?」ひとつの会社でコツコツとキャリアを積み上げてきた人の多くが抱える不安だろう。冷凍食品大手「ニチレイ」に19年間務めてきた富永亜矢さんもその一人だ。富永さんは、会社の外で「プロボノ」としてNPOと関わり、他流試合に挑む中で、自分の力を試して不安を払拭できたと語る。
同じ会社で19年、「この先やっていけるのか……」という不安
富永さんは、新卒で入社以来15年以上財務・経理の経験を積み、人事総務部に異動して3年目になる。「財務や経理で多くの経験を積んできたけれど、もう頭打ちになっているかも……」と感じていたタイミングでの人事部への異動だったが、人事パーソンとしてはゼロからのスタート。「社歴は長いのに、目の前の仕事に手いっぱいで、時間があっという間に過ぎてしまう」という焦りや、「人生100年時代といわれる世の中、この会社しか知らない自分がこの先何十年もやっていけるだろうか……」という不安を抱えていたという。
こうした悩みを抱えたとき、多くの人は、新しいスキルを学んだり、ビジネススクールに行ったりするかもしれない。しかし、ここで富永さんが目を向けたのは、職業上のスキルや専門知識を生かして行うボランティア活動「プロボノ」だった。