大阪市を廃止して4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」は、11月1日の住民投票で、5年前に続いて再び否決された。2度目の住民投票という後のない状況で、なぜ反対多数に終わったのか。ライターの片山一樹氏は「公明党の支持母体である創価学会が動かなかったことが最大の原因だろう。そこには3つの理由がある」という——。
公明党と日本維新の会の「大阪都構想」合同街頭演説で発言する(左から)公明党の山口那津男代表と松井一郎大阪市長、吉村洋文大阪府知事=2020年10月18日、大阪市中央区
写真=時事通信フォト
公明党と日本維新の会の「大阪都構想」合同街頭演説で発言する(左から)公明党の山口那津男代表と松井一郎大阪市長、吉村洋文大阪府知事=2020年10月18日、大阪市中央区

公明党の意向が公明党支持層に届いていない

大阪市を廃止して4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」は、11月1日の住民投票で、5年前に続いて再び否決された。

住民投票の結果は、「反対」69万2996票、「賛成」67万5829票で、その差は1万7167票とギリギリの勝負だった。2度目の住民投票という後のない状況で、なぜ反対多数に終わったのか。その大きな要因として、「賛成」にまわったはずの公明党が真っ二つに割れたことが挙げられる。

毎日新聞の出口調査によると、今回の住民投票において公明支持層の賛否は「48対52」となっており、全体の結果とほとんど同じだった。

一方、公明党が反対の立場で臨んだ2015年の住民投票では、産経新聞の出口調査によると賛否は「13対87」で反対が約9割だった。つまり、今回の住民投票では公明党の意向が公明党支持層に届いていないのだ。僅差で反対多数となったことを考えれば、公明党の動き次第では都構想は可決されていた可能性が高い。

なぜ公明党の意向は支持層に届かなかったのか。そこを読み解くためには、公明党の支持母体である創価学会の動きを理解する必要がある。なぜ都構想で創価学会は動かなかったのか。以下、時系列を追いながら解説していきたい。