弁護士の太田啓子さんとタレント・エッセイストの小島慶子さんは、ともに2人の息子を育てる母でもあります。「社会から性差別をなくすためには、男の子の育て方が大切ではないか」と考える2人が、母親として、子どもたちに何を伝えるべきかを考えました。
※本稿は太田啓子『これからの男の子たちへ「男らしさ」から自由になるためのレッスン』(大月書店)の一部を再編集したものです。
今から父親・夫世代を変えるのはあきらめた
【太田】小島さんは息子さんが2人いらして、現在はご家族でオーストラリアのパースにご在住なんですよね。
【小島】はい。私はもっぱら日本に単身赴任ですが、家族の生活の拠点はオーストラリアで、私が「出稼ぎ」先の東京からときどき家族の元に戻るという生活スタイルです。
【太田】近年、性教育に注目が集まっているようで、テレビの情報番組や女性誌でもたびたび特集が組まれています。その中で、男の子の性についてのトピックや、男性学の知見が紹介されたりすることも増えていると感じています。
そういう変化を見ると、もしかするとこれは、根深い性別役割分業意識の解消については、父親や夫の世代についてはあきらめて、次世代に期待しようということかもしれないな、と。日々の生活の中で根気強く働きかけることで、ある程度変わる夫もいるでしょうし、現にそういう話も聞くことはありますが、しかしあまりにコスパが悪い(笑)。そこにエネルギーを割くより、限られた時間とエネルギーを息子たちへの教育に振り向けて、彼らのパートナーになるであろう次世代の女の子たちの負担をできるだけ減らすほうがいいんじゃないか、ということじゃないかと。
【小島】私も最近、完全にそんな心境です。