「政権への逆風が吹き始めた」という分析はポイントを外している

菅政権が誕生して1カ月半あまり経過した。報道各社が行う世論調査も発足直後の1回目に続いて2度目の調査が出そろった。その結果、日本学術会議の任命除外問題などで政権への逆風が吹き始めたような論調が多いのだが、この分析はポイントを外しているのではないだろうか。

参院本会議での答弁中に、水差しの栓を外さずにグラスに水を注ごうとして苦笑する菅義偉首相
写真=時事通信フォト
参院本会議での答弁中に、水差しの栓を外さずにグラスに水を注ごうとして苦笑する菅義偉首相=2020年10月30日、国会内

テレビ東京・日経新聞は10月25日夜、定例の世論調査結果を発表した。それによると菅内閣の支持率は63%。前回9月中旬に行った調査と比較して11ポイント下がっている。「支持しない」は9ポイント上がって26%となった。

各社の調査も同様の傾向が見られる。共同通信は60.5%(9月調査は66.4%)、読売新聞の10月調査は67%(同74%)、朝日新聞は53%(同65%)、NHKが55%(同62%)。だいたい10ポイント前後下落している。

この数字をもとに、テレビの人気コメンテーターたちは「菅内閣、早くも暗転」「危険水域に近づいてきた」というような発言を口にし始めた。そして、下落の原因は、学術会議の任命除外問題での不誠実な対応をあげる。

朝日新聞は10月20日の朝刊で「政権失速 任命除外の影」という見出しの記事を掲載した。同社の調査では、任命除外問題での菅首相の説明を「十分ではない」という回答が63%だった。他社の調査でも、この問題については政府の対応に不満を持つ声が過半数を占める結果が多かった。

しかしちょっと待ってほしい。この評価、論評は、正当なのだろうか。