感染拡大と経済刺激策という二兎を追って一定の成果
今、国民は、政府が経済刺激策として全面展開を始めた「GoTo」キャンペーンの恩恵を受けている。一方で新型コロナの感染拡大は、ぎりぎりのところで食い止めている。少なくとも、再び感染爆発の兆しがみえる欧州や米国とは違い、医療崩壊も起きていない。感染拡大と経済刺激策という二兎を追い、一定の成果をあげていることを国民は評価しているのだ。
世論調査でのこのデータは、学術会議の任命除外についての設問よりも、はるかに興味深いし、重要な情報だ。
この件に関しては読売新聞が19日付で「政府コロナ対応『評価』56%」などと報じているはいるものの、総じて扱いは控えめだ。テレビの情報番組でも、政権のコロナ対応への国民の評価が上がっているという話題はあまり取り上げられていない。
コロナ対応への評価を意図的に小さく扱っているのではないか
どうして、このような報道になっているのか。数カ月前まで多くの報道機関が「GoTo」に対して徹底的に批判してきたことが最大の原因ではないか。政府が「GoTo」を打ち出して以来、メディアは「感染拡大を進めるだけだ」「今やることではない」などと一斉にたたいてきた。これは朝日新聞、毎日新聞、東京新聞など、政権に批判的なメディアだけでなく、比較的政権に近いメディアも同じだった。
しかし政府は計画通り「GoTo」を実施。現状では新型コロナウイルスの拡大は恐れていたようには進まず、国民は高い評価をしている。メディアとしては数カ月前に批判してきただけに、「不都合な真実」との整合性がとれず、意図的に小さく扱っているのではないか。だとしたら、それは「隠蔽」といわれてもしかたがない。
10月29日、菅義偉首相は衆院本会議の代表質問で日本維新の会の馬場伸幸氏の質問に対し「国民の皆さんの政権への期待も、そこそこあると思う」と答え、苦笑した。
常に「国民は新型コロナ対策と経済再生を最優先してほしいと期待している」としてコロナ対応に全力をあげると言い続けている菅氏。「そこそこ」という言葉からは、一定の達成感が感じ取れたが、それとともに、自らの仕事ぶりを正当に評価しないマスコミへの皮肉も込められていたのかもしれない。