すべての段取りを「細かく書き出す」ことで解決できる

対策としては、「細かく段取りを書く」ことが有効です。

「細部に凝りすぎるのが問題なのに、細かく書いて大丈夫?」という心配は無用です。書くことで、「必要な細部」と「不必要な細部」を選別できるからです。

西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA)
西脇俊二『繊細な人が快適に暮らすための習慣』(KADOKAWA)

この練習のベースになっているのは、発達障害の子供たちに行う「課題分析」というアプローチです。ひとつの作業の手順を、限りなく細分化するという方法です。

たとえば「冷蔵庫から麦茶を持ってきて」ではなく、「冷蔵庫の前に行く」「冷蔵庫のとびらの取手を持つ」「前に引く」……と、細かくガイドするのです。

これを参考に、作業着手前に5分間、手順シナリオをつくってみましょう。

たとえば企画書を書く際のシナリオなら、企画書作成に必要な作業を一つひとつ書き出してみます。

・企画書のタイトルを決める
・企画の概要をまとめる
・企画がいいものであるとする根拠をまとめる
・参考になる事例をまとめる
・フォーマットや文字サイズを整えて企画書に落とし込む

こうしてみると、作成開始直後にタイトルのサイズやフォントに悩むことなく、まずはA4用紙1枚にこれらの内容をまとめてみようという気になりませんか?

内容がまとめられたら、その後で、体裁を整えれば完成です。絵を描く際にまずはラフスケッチをするように、何をするにも作業前の5分でシナリオを作ってみるだけで、実際の作業がぐんとラクになります。

この習慣は、敏感な方ならではの「緊張」を解く効果もあります。心静かにシナリオを書くと、作業開始後も平静をキープしやすく、「全部大事に見えてしまう現象」を予防でき、余分な作業に集中し始めなくて済みます。

「こんなことまで書かなくても」が後で助けになる

手順を書き出すときの「細かさのレベル」は、あなたの感覚で決めて構いません。ただし、自分が思うよりも心持ち細かくするのがコツです。

「こんなに当たり前のことまで書かなくても」と思うレベルまで書いておけば、調子が悪いときの助けになるからです。

調子の良いときは当たり前にできることでも、ストレスが溜まると心乱れて、「次、どうするんだっけ?」となりがちです。

細かいガイドはそんなときのセーフティネットになります。書かれていることにただただ従っていれば、いつしか課題をクリアできるというわけです。