達成感を感じられる「スモールステップ」のすすめ
この手法の基盤にあるのは、「スモールステップ」もしくは「ベビーステップ」という考え方です。ある目標に到達するためにいくつかの段階を設定するとして、それが「3段」ならば段差はかなり大きく、上るのは大変でしょう。
しかし5段ならば比較的容易ですし、10段ならもっと楽です。段差の小さい段をたくさんつくればつくるほど、スムーズに目標を達成できるのです。
敏感さを抱える人にとって、スモールステップは欠かせない知恵です。ストレスを軽くするための基本姿勢、といっても良いでしょう。
こうした「じっくり鍛える系」のノウハウの共通のコツは、一段一段を思い切り低くすることです。
「(実行しなくていいから)計画を書くだけ書こう」「(企画書を書き上げなくていいから)1行目だけ書こう」という目標設定なら、簡単に達成できますね。
この小さな達成を、何度も体験することが大切です。HSPといわれる繊細な方々はとくに、自分を過小評価する傾向がありますが、スモールステップは、そんな心のクセをも少しずつ修正してくれるでしょう。
人から見れば「どうでもいいこと」に時間をかけるクセ
優先順位力を鍛え完璧主義を緩和する「細かいシナリオ」によって、日々の仕事を効率化できれば、ムダな動きが減って、時短効果もアップします。疲れも溜まりにくくなるでしょう。
とはいえ、その習慣が根付くまでには時間がかかります。スモールステップ式は、ラクである代わりに、完全に身に付くまでが長いのです。
ですから、1カ月や2カ月で変われるなどという期待は禁物です。逆に、「なかなか変わらない期間」を利用するのがおすすめです。
今のうちに、自分がよく行うムダ作業の検証をしましょう。といっても、目的は「ムダ削減」ではありません。「このムダ、あってもいいんじゃない?」という視点で考えるのです。
繊細だったり敏感だったりする性質をもつ人々は、美しさにこだわりを持つ傾向があります。そのこだわりは多くの場合、第三者から「そんなのどっちでもいいのに」と言われそうなポイントです。たとえば文書を作成していて、「改行」の位置を気にする、などです。
(一文字だけはみ出して改行、惜しい……)
(文字ビッシリで余白が少なすぎる、美しくない……)
そんなことを考えて、内容には問題ないのに数文字足したり、減らしたり。
上司が見たら、「そこはどうでもいいから、早く出して!」と言いそうです。