生活習慣病のエキスパートである池谷敏郎医師の著書が売れている。『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』(東洋経済新報社)は13万部を突破。さらに無駄な脂肪を燃やす方法について『代謝がすべて』(角川新書)を上梓した。今回はこの最新作から、「糖質オフが危ない」理由について紹介しよう──。(第3回/全3回)
※本稿は、池谷敏郎『代謝がすべて』(角川新書)の一部を再編集したものです。
内臓を騙す人工甘味料
最近では、「糖質オフ」「糖質ゼロ」「砂糖不使用」などと謳った商品をよく目にするようになりました。そうした商品で使われているのが、人工甘味料です。
甘いのに糖質オフ、糖質ゼロなのはなぜかというと、「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」といった非糖質系の人工甘味料が使われているからです。
これらにはブドウ糖が含まれていないので、血糖値を上げません。ということは、「体にいい、代謝にいいということ?」と思うかもしれませんが、そう手放しでは喜べず、こうした人工甘味料は、私たちが食べて甘いと騙されるように、膵臓も騙されるのです。
血糖値が上がらないのにインスリンの分泌量が増えることも
血糖値が上がったことを受けて、膵臓がインスリンの分泌を増やすのが通常ですよね。ところが、人工甘味料を摂ると、血糖値は上がらないのにインスリンが出てしまうのです。糖がきたと体が錯覚してしまうのでしょう。そうすると、結局は肥満や糖尿病につながってしまいます。
そのため、「血糖値を上げないから」という理由で人工甘味料を使ってもやっぱりインスリンの分泌量は増えるわけで、長期的に見て糖尿病の予防ができた、肥満が解消されたという実績は今のところありません。