女房以外は全部変えた

「僕は本当に悪運が強いんですね」

そのように自身の人生を自虐的に評するのは芸能事務所ホリプロの創業者・堀威夫氏。芸能プロダクションとして日本で初めて上場を果たし、設立60周年を迎えるホリプロを一線で率いてきた。そんな堀氏は運が悪い人といい人の違いについてはこう表現する。

「鈍感なるが故に運をパスしてしまったり、逆に欲をかいたりしてチャンスをものにできなかった人は、次はその倍のインターバルで運の風が来る。そこでまた失敗すると、また倍だから、二乗、三乗、四乗となるんじゃないかと」

科学的な根拠はないと堀氏は言うが、経験則から確信を持って話しており、不思議と説得力を持たせてしまうところが堀氏の人格を物語る。

そして、めぐってきた運を逃がさないために重要なのが「おっちょこちょい」であること。なんでもすぐに乗るフットワークの軽さが必要なのだという。

自身は「おっちょこちょい」であるが故に、失敗することもあったという。堀氏は初音ミクがデビューする10年以上も前に、伊達杏子という3DCGアイドルをデビューさせる。時代を先取りする発想であったが、失敗に終わった。