強者の戦略は極めてシンプルだ

私は普段、会社の役員として、事業と組織を見ています。新卒から一貫して、戦略に携わるような仕事をしてきました。その中でいつも思うことがあります。それは「優れた戦略とは、基本的には弱者のためにある」ということです。

いえ、正確に言うならば「戦略には、強者の戦略と呼ばれるものと、弱者の戦略と呼ばれるものがある。そして前者は極めてシンプルである」ということです。どういうことでしょう。

まず、ビジネスの世界にも明らかに「強者」と呼ばれる存在があります。たとえば、業界No.1企業と呼ばれる会社や、時価総額が巨大な企業です。

あるいは、個人単位でみると、絶対的君主として君臨する「創業カリスマ社長」というのもそうでしょう。彼らはすでに強い影響力を持ち、知名度も抜群です。

そして、そんな彼ら、いわゆる、強者という人たちの戦略というのは実は極めてシンプルなことが多いのです。それは「強いやつ同士で手を組む」ということです。たとえばこれは、ソフトバンクとトヨタ自動車が手を組む、というイメージがわかりやすいでしょう。No.1同士が手を組むことでより支配力を高める、ということです。

もちろん、これ以外にもたくさんの戦略がありますが、最もシンプルでかつ強力な戦略とは「常に強いやつ同士で手を組む」ということなのです。

学生時代などを思い出してみると、わかりやすいでしょう。学校のクラスでも、いわゆるスクールヒエラルキーが上の人は、上の人と手を組むことでさらに強くなる、ということがあったのではないでしょうか。これと同じことです。

いい戦略は「弱者」のために作られたもの

なにが言いたいのか?

それは、私が思うに実は優れた戦略とは常に「弱者」のためにある、ということです。ここで言う弱者とは「現時点でなにも持っていない人や会社」を指します。たとえば、普通の家庭に生まれた人、特に経歴が素晴らしいわけでもない人、特に素晴らしい実績を持っているわけでもない人、などです。

この事実を理解するためには、実は人間界よりもさらに動物界のことを想像すると分かりやすいでしょう。

たとえば、ライオンやチーターと呼ばれる強い動物には特段の強い戦略は必要なくても、シマウマやウサギといった動物には必ず生き残るための強い戦略を有しています。そりゃそうです。

なぜなら一対一で戦っても勝てない動物たちは、食べられないためには知恵を使うしかないからです。言い換えれば、やはり「いい戦略」とは、動物界や人間界問わず、常に強者のためではなく弱者のためにある、ということです。