「ホラ=ビジョン」の類まれなるユーモアセンス

カリスマ経営者のなかでも、「プレゼンの名手」として知られているのが孫正義・ソフトバンクグループ会長兼社長だ。1992年当時から孫会長と親交があるというハリウッド大学院大学教授の佐藤綾子さんは、「孫さんは有言実行の人。よく夢を語りますが、大言壮語のようでも実際に具現化されていくので、誰も文句が言えない。信用されるのも、もっともです」と話す。

ソフトバンクグループ会長兼社長 孫 正義氏
ソフトバンクグループ会長兼社長 孫 正義氏

大言壮語といえば、有名なのが「豆腐屋の話」。佐藤さんが理事長を務める国際パフォーマンス学会でも、「第1回ベストパフォーマー賞」に選ばれた孫会長が、受賞スピーチでその話をした。コンピュータの将来性に着目した孫会長は81年、米国から帰国して小さな会社を立ち上げると、アルバイトを前に「売り上げを5年で100億円、30年後に1兆円にする。豆腐屋が豆腐を1丁、2丁と数えるように、売り上げを1兆、2兆と数えられる企業にする」と演説。それは現実となった。

「目標を人前で言うことが、実は目標を達成しやすくする秘訣なんです。パフォーマンス学では『アナウンス効果』といい、みんなに宣言したら後には引けなくなるので、実現するために猛烈に努力するわけです」(佐藤さん)