「女性が応援したくなる」魔法の言葉

一連の新型コロナウイルス対策では、政治家のパフォーマンスの巧拙が浮き彫りとなったが、そのなかでも抜群の情報発信力を発揮することで2020年7月5日の東京都知事選挙で再選を果たし、改めてその存在感を強く示したのが小池百合子知事だ。

東京都知事 小池百合子氏
東京都知事 小池百合子氏(時事通信フォト=写真)

小池知事の情報発信力は、なにゆえ優れているのか? その疑問を解くカギの1つが「マスコミ出身者だけに、キャッチフレーズ作りが巧妙なところ」とハリウッド大学院大学教授の佐藤さんは説明する。

「コロナショックでの“小池語録”を振り返ると、『ステイホーム』『ロックダウン』『東京アラート』といったワードが印象に残っていて、いずれもカタカナ言葉なんです。ステイホームは『おうちにいましょう』と自分で訳してまで、横文字に言い換えています。耳慣れないカタカナ言葉なら、国民の関心を引きやすいうえに、国際派政治家としての自分の存在も、アピールできるからなのです」

もう1つのカギが、スピーチで「連辞」を多用している点である。連辞とは、同じ響きを持つ言葉を重ねていく修辞法の1つ。詩などで韻を踏む技法や、音楽の「ラップ」などにも似ている。小池知事はステイホームを都民に要請する際、「皆さんのために、ご家族のために、ご自身のために」といった言い回しを使った。もうおわかりのように、すべての言葉に、「のために」という共通部分がある。