この歌詞は、エレファントカシマシというバンド自体にもリンクしているところがあります。彼らのデビューは88年で、『悲しみの果て』(96年)、『今宵の月のように』(97年)などのヒット曲を生むまで道のりが長かった。デビュー当時は、こだわりが強すぎるあまりヒットが出ず、一旦レコード会社から契約を切られていたんです。それから「たくさんの人に知ってもらわないとダメだ」というマインドに切り替わり、レコード会社を移籍して、ヒット曲が生まれるに至りました。そこから紆余曲折あって、再度レコード会社を移籍。それがこの『俺たちの明日』を出すタイミングだったのです。

彼らのヒストリーは、2番の歌詞にぴったりと重なります。最初のレコード会社でやりたいことをやったけど売れず、その後自分の中の変化もあり曲が売れて、30代を超えてやっと『俺たちの明日』のような曲が作れるようになった。これをサラリーマンに置き換えてみてください。泣けてきますよ。

ドリカムファンからも大切にされている

女性ボーカルの応援ソングといえば、DREAMS COME TRUEの『何度でも』。これはわかりやすい応援ソングですよね。いろんな失敗を繰り返していても、とにかく諦めないでチャレンジしようと歌っている曲です。

この曲は、ただ「頑張れ」と応援しているだけではありません。何度でも頑張ってトライして、報われる日は明日かもしれないよ、と前向きな終わり方をしています。具体的に「明日に報われる」と希望を感じさせているのは、他の応援ソングと一線を画します。たとえば、家に持ち帰ってきちゃった明日までの企画書を、「もしかしたら今頑張ればなんとかなるかも」と行動に移せることも後押ししています。

『何度でも』の、シングル売り上げは19万枚。ミリオンヒットが多いドリカムの中では、意外にもセールスはそこまでよくありません。しかし、4年に1度開催しているドリカムのイベント『史上最強の移動遊園地 DREAMS COME TRUE WONDERLAND』で公募されるリクエストランキングでは、2007年・11年・15年で1位を獲得。コアなドリカムファンの中でも、大切な曲として広く認知されています。

この曲が05年に発売される前までは、『うれしい!たのしい!大好き!』『LOVE LOVE LOVE』『未来予想図II』など定番のラブソングがランキングの上位を占めていました。しかし、このようなメッセージソングに人気が集まるのは、ドリカムの音楽性の幅が広がったことの証明だと思います。メンバーの中村正人自身も、ドリカムの歴史において重要な意味を持つ楽曲だと語っています。