コロナ禍で導入企業が急増した在宅勤務制度。世間の流れに乗って、ただ闇雲に導入しようとしても、うまくいかないこともある。令和の新しい働き方。成功する中小企業と、失敗する中小企業の決定的な違いとは。
自宅からリモート作業。ラップトップ、コーヒーのカップとキッチンでフリーランサーの職場
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突然の在宅勤務要請に、現場はバタバタ

政府が推し進める「働き方改革」。メニューで対応が遅れていると言われていたのが、在宅勤務だ。コロナ禍で、導入する企業は大幅に増えた。

だが、世間の雰囲気に押されて、闇雲にテレワークを導入しようとしても、うまくいかなかった中小企業もある。

たとえば筆者が2020年4月に取材をした関西の会計事務所(社員数30人)。総務部長は全員一斉に在宅勤務をしようとしたが、できなかったと話す。「守秘義務契約を、最近5年に入社した社員10人ほどとは交わしていなかった」というのだ。顧客の資産情報を扱うため、慌てて全員と交わしたそうだ。

そして、いざ始めると、7人は自宅でのネット環境が整っていなかった。約2週間は、在宅勤務ができないために出社。システム担当者がいないため、総務部長はネット環境の整備の仕方を知らなかったようだ。