明治のチョコレート菓子「きのこの山」と「たけのこの里」は、どちらのほうが人気なのか。食品の味について研究している髙橋貴洋氏は、「食感がやわらかくマイルドな味わいのたけのこの里のほうが、子供に好まれる傾向にある」という――。

※本稿は、髙橋貴洋『「うまい!」の科学』(イースト新書)の一部を再編集したものです。

“派閥争い”は80年代から始まっていた

お菓子の派閥争いで最も有名といっても過言ではない、「きのこの山」と「たけのこの里」論争。その争いは80年代から始まり、今に至ります。近年では、公式でも選挙を開催、いまだに終わらない定番の食論争です。私自身は幼いころには「たけのこ」を推していましたが、今ではきのこ派です。みなさんの推しはどちらでしょうか? 昔から変わらなかったでしょうか? それとも、大人になって推し変をしたでしょうか?

写真提供=明治

実際の各派閥の人数を把握するために、400人程度を対象とした簡易アンケートをとってみました。

今回は、「たけのこ一筋」、「きのこ一筋」、「小さいときたけのこ派→大きくなったらきのこ派」、「小さいとききのこ派→大きくなったらたけのこ派」の4パターンでアンケートをとりました。

昔からたけのこ派が44.4%、昔からきのこ派が37.5%、きのこからたけのこ派に、たけのこからきのこ派に推し変したのはそれぞれ5%程度でした。

たけのこ派がやや優勢ですが、2019年に明治が公式に行った、「きのこの山 たけのこの里 国民総選挙 2019」では、きのこの山が勝利を収めました。今後も、この論争からは目が離せませんね。

きのこたけのこ論争を科学的に語るために、生地の味や食感、チョコレートの味などのデータをとりました。

まずは、きのことたけのこの一番の違いである、生地の味を見てみましょう。塩味、甘味、まろやかさを比較しています。(図表1)

生地の味の比較

たけのこのクッキー生地のほうが、塩味が弱く、甘さがさらに際立つバランスです。きのこは塩味を軸にしたしっかりした味わいです。