飲食店で食事をするとき、同じ代金でほかの人よりもおいしく食べる方法はあるのか。食についての雑誌『dancyu』(プレジデント社)の植野広生編集長は、「同じ料理でも、食べ方によって味わいがまったく違う。食べ方には大きく分けて5つのルールがある」という――。
※本稿は、植野広生『dancyu“食いしん坊”編集長の極上ひとりメシ』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
「同じ店の同じ料理だったら誰が頼んでも同じ」は違う
僕は、常に「隣の人より美味しく食べたい!」と考えています。
隣の人が注文したものより高価なものをオーダーする、といったことではありません。同じ店で同じときに同じ料理を注文して、同じ代金を支払うとしても、隣のお客さんより美味しく食べたいのです。
ここで、「同じ店の同じ料理だったら誰が頼んでも同じでしょ」とツッコミを入れる人は、人生の8%くらい損しているかもしれません。いやいや、違うんです。
店で食べていて、同じ料理を注文したのに、隣の常連客に自分より美味しそうなものが提供されたり、自分の皿には入っていないものが出ていた、といった経験はありませんか? そう、店は客によって出すものを変えることがあるのです。たとえば、魚が一尾しかなくて、それを切り分けて出すとしたら、店は一番いいところは常連客に出し、一見の客にはその残りを出すでしょう。これは当然ですよね。
初めて行った店で「常連客にばかりいいものを出している。差別だ!」と文句を言う人がいますが、それは間違いです。店にしてみれば、長年通ってたくさんお金を使ってくれた客を優遇するのは当たり前。これは「差別」ではなくて「区別」。いい思いをしたければ、足繁く通って常連になるしかありません。