知識が「どう役立つのか」を教えてくれる

ICカードには電池などの電源がない。それでも情報を読み書きできるのは、内蔵のコイルに秘密がある。カードの読みとり機からは、変化する磁界が発生している。カードをかざすと、変化する磁界がコイルをつらぬくので、誘導電流が流れる。こうして、カードのICチップを作動させている。
〈大日本図書「新版 理科の世界2」 211ページ〉
池上彰・佐藤優『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく 12社54冊、読み比べ 』(中央公論新社)
池上彰・佐藤優『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく 12社54冊、読み比べ 』(中央公論新社)

【池上】まさに、「へえ、そうなんだ」です。

【佐藤】駅の改札で「ピッ」と音をさせるたびに、「今、手元の読み取り機から出ている磁力が私のカードのコイルを貫いて、電流が流れたんだ」と。(笑)

【池上】そうすると、教科書に書かれていることが、「試験のために覚えなくてはならないもの」から、「自分たちの社会を理解するために有意義な知識」に変わるわけです。

そういうふうに、教科を問わず「学びのモチベーション」を植え付ける仕掛けが、随所に施されているのも、今の教科書の特徴ですよね。

【佐藤】作り手の側がそこを強く意識しているのは、間違いありません。

【関連記事】
池上彰さんの話がいつもわかりやすい数学的な理由
全ての「頭がいい人」に当てはまる唯一の共通点
バカほど「あえて難しい言葉を使いたがる」ワケ
灘中合格者数日本一を誇る塾の学園長「子どもの成績表は1年間は捨てないで」
「GoToキャンペーンは早すぎる」と思っている人に伝えたいこと