大統領選だけではなく連邦議会議員選挙にも注目せよ
トランプかバイデンか、2020年米国大統領選挙を巡る分析への興味が尽きない。だが、忘れてはならないのが大統領選挙と同時に行われる上下両院の連邦議会議員選挙である。
米国は三権分立の国家であり、連邦議会は非常に強力な権限を有している。そのため、米国大統領はキャピトル・ヒルに陣取る連邦議員の意向を無視することはできない。
政府の高官人事は連邦上院の過半数からの承認を受ける必要がある。米国大統領は自らの政権の要職に就く人物を自由に決めることはできないのだ。具体的には各省の局長クラスまで上院承認を必要としており、その政治任用職数は約1000名となっている。この上院の承認プロセスは極めてハードルが高く、政策能力や経歴は言うに及ばず、過去の言動や素行も含めた厳しいチェックが行われる。そのため、仮に与党が上院過半数割れしている場合、大統領が任命したい人物であっても、上院が問題を指摘する人物は承認を得ることが難しい。
また、各上院議員の意思決定の独立性は高く、与党議員が過半数を占めていたとしても大統領の意向に反して人事案や法案を否決する事態も発生する。トランプ政権下においても人事案や重要法案が通らず、その見直しを余儀なくされた事例は複数存在している。さらに、条約批准については上院議員3分の2からの承認が必要であり、上院のコントロールを失うことは外交面でも支障をきたすことにもなるだろう。