下院は民主党が圧倒…共和党は手も足も出ない

下院は既に過半数を有している民主党が圧倒的な優勢を築いている。共和党全国委員会は2019年2月に民主党から奪い返す55の重点選挙区リストを公表した。そのうち31選挙区は2016年にトランプ大統領が勝利した選挙区であり、20戦局はヒラリーが勝利したものの、以前は共和党議員が存在した選挙区となっている。

しかし、共和党はこのリストの選挙区において民主党に対して手も足も出せていない。各選挙区の資金調達で大幅に劣後する状態となっており、過半数を奪取できる可能性は皆無だ。それどころか、共和党は27名以上の現職議員が引退する見込みであり、下手すると下院議席を更に減らす可能性すらある有様となっている。

トランプが勝っても、バイデンが勝っても死に体?

したがって、仮にトランプ大統領が再選された場合でも、下院は民主党が制圧している状況は前提となるため、トランプ大統領が経済を立て直すための追加の税制改革案を進めることは困難だろう。インフラ投資については下院民主党と合意点はあるかもしれないが、その財源や内容について堂々巡りを繰り返すことも十分に想定される。

また、仮に上院まで民主党に過半数を奪われた場合、民主党がトランプに対する弾劾決議を再び試みることも想定しておくべきだ。共和党が上院過半数を辛うじて残した場合でも、反トランプ系の共和党上院議員らはトランプ大統領に容易には協力しないだろう。つまり、いずれの場合でもトランプが再選後にレイムダック(死に体)化することは避けることができない状況だ。

一方、バイデン元副大統領が大統領になった場合はどうだろうか。仮に上院で共和党が過半数を残した場合、バイデンは政権高官の人事権を十分に行使することが難しいことになる。特に、バイデン政権で懸案となる、環境、ヘルスケア、外交などに関する人事承認は困難を極めることになるだろう。また、民主党が上院で過半数を上回った場合でも、穏健派民主党議員らは左派的な党派色が強い人事や政策を簡単に容認することはないだろう。

そのため、バイデンが政策的なフリーハンドを得るためには、2022年上院選挙においてラストベルトで勝利し議席を上積みする必要がある。一方、下院は民主党であることはほぼ確定しているため、予算についてはバイデン・民主党は主導権を持つことができるであろう。しかし、あまりに極端な政策は上院の壁に阻まれて前に進めることは難しいと思われる。