本田技研工業が課長級以上の管理職約4800人を対象に、この2月から給与を約5%カットすると発表した。当面5月までの一時的な措置で、「6月以降については未定」(広報部)としている。しかし、新車販売の不振が続いたりした場合は、継続されることもありえる。すでに1月から役員報酬を一律10%削減しているが、すべての幹部社員を対象に賃金カットを行うのは初めてだ。
また、日産ディーゼルは2月中に5日間の休業日を設け、基本給の15%をカットする。電機業界の雄であるパナソニックでは2月から約50人いる役員が報酬の10~20%を返上し、約1万人の管理職の賃金も5%カットする。日本電産も国内のグループ全体で1万人弱いる一般社員の賃金を2月から1~5%カットしている。
さらに、東芝は2~3月にかけて一時帰休を実施する半導体工場と液晶工場の従業員約1万7000人弱を対象に一時的な措置として、当該期間中の副業を認めることになった。富士通の半導体子会社である富士通マイクロエレクトロニクスも、労働時間の削減にともなう賃金ダウンを補うための副業を認めている。これらの措置は、就業規則での原則を曲げる緊急事態といえる。
三菱UFJ証券の水野和夫チーフエコノミストは、「今年1~3月期の粗鋼生産が1969年7~9月期以来40年ぶりの低水準に落ち込む見通しになっている。昨年12月の国内の自動車の生産台数も、12月としては76年以来32年ぶりの水準にとどまった。つまり、過去30~40年間かけて増やしてきた雇用の調整を一気に迫られているわけだ。それだけに痛みをともなう解雇や賃金カットも避けられなくなっている」と指摘する。