成績が悪い営業マンは容赦なく子会社へ
個人消費や設備投資の冷え込みで企業の業績が落ち込む中、数字を求められるマネジャーや営業マンたちが悲鳴をあげている。不動産仲介業大手の某店舗で営業を担当する小山亮輔さん(仮名・26歳)は、現場の状況をこう明かす。
「店舗の前期の売り上げ目標は、営業マン8人で4億円。1人当たり平均5000万円のノルマでしたが、前期はほぼ全員クリアできました。しかし、今期は目標が下方修正されたにもかかわらず、いまのところ達成できそうな人は一人もいない状況。目標未達になると今夏のボーナスゼロという噂も流れているので、みんな戦々恐々としています」
営業マン以上に厳しい立場に立たされているのが店長だ。小山さんの会社の場合、営業マンは売り上げに応じて年収が決まるため、目標数字は給与に直接影響しない。しかし、店長は目標対比で給与が決定するので、ノルマ未達では給与が大幅にダウンすることになる。
「うちは都心の店舗なので、まだいいほう。成績の落ち込みが激しい郊外の店舗では、店長が躍起になって営業にプレッシャーをかけています。例えば以前は早めに帰宅していた店長も、いまは終電ギリギリまで会社に残っているとか。とくに忙しいわけではありません。営業に無言の圧力をかけるため、ただ座っているんです」
現場の雰囲気が変わったのは、昨年の秋ごろだ。一昨年までは外資を含めた法人の不動産投資が盛んだったが、価格が高騰して需要が徐々に細り始め、サブプライム問題で一気に業績が落ち込んだ。
「会社も危機感を感じたのか、昨年後半から会議がやたらと増えましたね。これまで営業のやり方は個人に任されていましたが、急に店舗ごとの営業会議が毎週定例化されて、電話やメールの回数まで会議で報告しなければならなくなった。なかには営業マンに発破をかけるため、毎週2時間かけて会議をやる店長もいます。そんな時間があるなら現場に行かせてくれ、というのが営業マンの本音じゃないでしょうか」