そこまでやるのか……。昨秋の新聞記事に驚いた人もいたのではないか。
「(パナソニックの)家電部門の本社機能がある滋賀・草津と事業所のある神戸を移動する際はJRの若者向け格安切符『青春18きっぷ』を利用」(読売新聞2008年9月28日付)
往復で約1000円節約。こんな妙案、経路情報検索ソフトにも思いつかない。
正社員さえ突然解雇される時代。仕事があるだけでシアワセなのかもしれない。各社は人件費以外も絞って「乾いた雑巾」からさらに「水滴」を出そうとしている。
例えば前出のパナソニック。「03年にコストバスターズというプロジェクトが誕生し、20名のスタッフが年数百億円のコスト削減に成功しています」(広報)。何しろ「不況は贅肉をとるための注射である」(松下幸之助氏)という“不況語録”がある。経費節減は“お家芸”に近い。
「消しゴムは全部使い切れ」「クリップは捨てるな」。資材・事務用品は激安量販店でまとめて買うなど常識。「自分のお金だと思えば、みな目の色も変わる」(30代社員)らしい。
家計を切り詰める主婦的な感覚のコストバスターズのほかに、最近は「イタコナ」運動も登場。素材・原材料の鋼板・粉材の原価低減を狙うこの活動は現社長の発案である。
「アイデアが一回りしたのか、最近はちょっと首を傾げたくなるような経費カット案もありますが、全社的な意識改革として成功しています」(40代社員)