2008年の企業倒産件数は前年比15.7%増の1万2681件で、負債100億円以上の倒産が前年の68件から107件に急増した(帝国データバンク調査)。なかでも目立ったのが建設・不動産関連の上場企業の大型倒産である。何しろ34件の上場企業倒産のうち25件がこのセクターで、逆風は続きそうだ。
ある不動産企業経営者はこう予想する。
「03年頃から外資系資本の流入で不動産価格が上昇、それを前提としたビジネスが成長しましたが、外資が一斉に引き揚げて状況は一変。ゼネコンはファンドバブルだったときの受注がまだ稼働していますが、売り上げを回収できない可能性があり『年度末の竣工が怖い』という声も聞く。今後も倒産が相次ぐでしょう」
特に、地方のゼネコンや体力に乏しい中小マンションデベロッパー、不動産ファンドは危険度が極めて高いという。
未曾有の不況に金融機関の消極的な融資姿勢が影響し、利益をあげる企業が突然死する「黒字倒産」が相次いでいる。
「銀行が財務体質を維持するため、新規融資に消極的になり、貸し渋りが起きています。信用保証協会の保証があっても融資を断る例も出てきたと聞きます」
多くの倒産案件を手がけてきた中島茂弁護士は最近の状況をそう説明する。メーンバンク制の崩壊後、銀行の姿勢が「企業が危なくなるとパッと窓を閉める」ように変化したことも大きい。
「自動車や電機メーカーなど日本の基幹産業とされる企業の業績が急激に悪化。設備投資や経費の削減に走っているため、今年は、その直撃を受ける周辺の中小部品メーカーや設備関連業種も倒産リスクが高いと思われます」(中島弁護士)
世界的に逆風が吹きすさぶ自動車業界だが、あるトヨタ部品メーカーの役員は、「小型車は大きく値引きすればまだ売れるが、需要が激減した大型車・高級車に特化した下請けは極めて危ない」と語る。