生死の分かれ目は、内部留保と社会的支持

では、自社の危険度はどのように判断すればよいのか。可能な限り、財務諸表などから自己資本比率や流動比率、当座比率、手元流動性等を分析していくことだろう。現金が急減し、たな卸資産が急増しているような会社は要注意だ。

また、CSRや社会貢献、消費者視点といった姿勢を打ち出し、社会の支持を得ているかも分かれ目となるようだ。

「反社会的勢力に利益供与していたり、環境重視に逆行する製品を手がける会社が危機に瀕しても、裁判所は『そんな会社を再生していいのか』と言いますし、銀行も支援したら責任を問われかねない」(中島弁護士)

自分の会社が危ないと判断したらどうするか。今危ない業界の中で、早くから危険を察知し、転身していた人間もいるようだ。前出の不動産経営者によると、「今、倒産したか倒産寸前の不動産会社から転職市場に人材が流入しているが、実は06年頃からその動きは始まっており、当時のほうが優秀な人が多かった」と語る。

もちろん先行きが危うくても、組織や顧客のために最後まで踏ん張る決断もあろう。いずれにせよ、的確な現状把握が必要だ。目先の業務に終始せず、日頃から自社や業界、経済全体に視野を広げ、自分なりの分析ができるよう心がける。

そして、業界全体が危機に陥り、自社が消滅したとしても、したたかに生き延びていく能力を蓄えておくことだ。