副業・兼業を解禁する企業が増えたが、本当に希望する人はどれくらいいるのか。日本総研の調査では、都内勤務の45~64歳男性は約7割が副業・兼業を希望しており、そのうち約半数は「給与が減っても行きたい」と回答した。日本総研の小島明子さんは「地方の企業と副業を希望する人向けのマッチングをする会社もある」という――。
本業の給与が削減されても副業をしたい中高年の狙い
厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表したのは2018年1月のことでした。
多くの会社が就業規則を作成する際に参考とする「モデル就業規則」が改訂され、第68条に「労働者は、勤務時間外において、他の会社などの業務に従事することができる」といった内容が新たに追加されました。
これにより、多くの企業が副業・兼業を解禁し、長年同じ組織のなかでキャリアを積んできた人が、本業以外の仕事を通じて活躍できるようになりました。
少子高齢化に伴い労働人口が不足していくことが予想されるなか、副業・兼業を通じて、高度な技能などを持つ人材が複数の企業で活躍することは、労働供給対策のひとつにもなります。
起業や人材交流の活性化などを通じたイノベーションの創出や、都市部の人材が副業という形で地方でも活躍するきっかけとなれば、社会全体、あるいは地方の経済活性化にもつながると考えます。
本稿では、副業・兼業の受け入れを行っている、北海道の余市町役場と、地域貢献副業プロジェクト事業を行っているみらいワークスの子会社であるスキルシフトに協力をいただき、副業・兼業という形態で、地方で働くということについて述べます。
1:給料が減っても副業をしたい中高年は多い
日本総合研究所では、2019年3月に、民間企業かつ東京都内のオフィスに勤務する中高年男性45~64歳(東京圏に所在する4年生大学あるいは大学院を卒業)にアンケート調査を実施しました。
この調査によれば、「実際に副業・兼業をやってみたい」と希望する男性は、約7割にのぼりました。かなりの高率ですが、さらに驚いたのは次の質問への回答です。