外に出られなくなって、酔い止めが売れない…
男性も視点に入れると、6位:制汗剤、11位:眠気防止剤、12位:強心剤、15位:スポーツドリンク、16位:エチケット用品、17位:ビタミンB1剤、19位:靴クリーム、22位:ミニドリンク剤、23位:しわ取り剤なども、浮かび上がってくる。
11位の眠気防止剤や12位の強心剤、17位のビタミンB1剤に関しては、長時間出勤や超過勤務が減少したことで、オフィスワーカーのストレスや緊張、過労が減ったことも影響しているのではないか。30位の鼻炎治療剤の減少も、毎年花粉症に悩む人々が、今年は花粉渦巻く外に出る必要がなくなり、自宅にこもれるようになったことの副産物と考えることができる。
これらのランキングで目を引いたのは、1位:鎮暈剤(酔い止めなど)、5位:ビデオテープ、25位:小児五疳薬だ。なかでも最大の謎はビデオテープで、いまだ日常的に購入する人がいるのかと驚くが、考えてみれば今回のデータは売り上げランキングではなく、あくまで前年比で金額が動いた商品をデータ化している。もとから販売個数が少なければ、商品がひとつ動いただけでその差は歴然として表れる。4月6日時点では前年比13.6%だったビデオテープが、翌週には233.1%に急増し、またその翌週には43.1%に減るといった数字の乱高下から見ても、この商品はコロナとは無関係と考えていいだろう。
ストレスやイライラも売れ行きの影響か…
問題は1位の鎮暈剤と25位の小児五疳薬だ。前者は91.4%(2月3日)→13.1%(4月20日)の落ち込みよう、後者も124.7%(2月3日)→68.8%(4月20日)にまで激減している。鎮暈剤といえば酔い止め薬。春休みやGWが控えるなか、外出自粛でドライブやバスツアーが中止になり前年を下回った可能性もある。
だが、鎮暈剤にはもうひとつ別の使い方もある。眩暈や吐き気は、メニエール病などストレスや過労、自律神経の乱れによっても引き起こされる。一方の小児五疳薬も15歳以下の子どものストレスやイライラ、神経過敏や不眠に効くとされる漢方薬である。4月後半から5月にかけて、通常なら「五月病」が増える時期に、通勤や登校がなくなったことで人々の緊張やストレスが減ったことが、これらの数値にも表れているのではないだろうか。そう考えると自粛生活もあながち悪い面ばかりではなく、自らの体調を優先し、リモートワークやオンライン授業を、今後も選択肢の一つとして望む人々も多いのではないか。