まるで世論のように見えてくる
一方で、執拗に書き込む人も存在します。先ほどの調査では、「過去1年で、11件以上の炎上に参加して、1件あたり51回以上書き込んだ」という人が4万人中7人だけいました。われわれ調査チームが「スーパーセブン」と呼ぶ彼らの意見が、まるで世論のように見えてくるわけです。
その社会的属性はさまざまでしたが、年齢は35歳以上で、年配の方が多い。また、テレビはあまり見ないで、インターネットをしている時間が圧倒的に長いのが特徴です。共通しているのは、「罪を犯した人は世の中から退場すべきだ」「根本的に間違っている世の中を正してやりたい」など、歪んではいるけれど強い正義感を持っていることでした。
人を貶めて冷笑しようというよりも、自分なりの正義を貫徹したいという欲求があるのです。「自分の人生は理想に近いか」という質問を送り、点数をつけてもらったところ、一般人と点数がたいして変わりませんでした。人生に絶望して、ただただ否定的な言説を唱えているわけではなく、非常に自尊心が強いのです。
ネット炎上を目の当たりにすると、世界が悪意に満ちているように感じるかもしれません。しかし、一部の偏った主張が、実態以上に幅をきかせている、と考えたほうがよいでしょう。
(構成=鈴木 工)