「こうされても笑顔で返すんだよ?」
関東在住の榎和泉さん(仮名・40代)は、20歳の時にストーカー被害に遭い、引っ越しするために消費者金融で借りた。その直後、母親から「弟の学費を貸してくれん?」と頼まれたため、再び消費者金融で借金。借りては返しを繰り返しているうちに、借金は150万円以上に膨れ上がっていた。
「借金を返すためにアルバイトをいくつか掛け持ちして、朝から晩まで働きました。それ自体は全然しんどいとは思わなかったんですが、借金の負担は大きくて。『どうにかしなきゃ』とか、『このままでいいはずがない』とか常に考えていて、正社員の仕事を探すんですけど、当時は募集自体があまりなくて、私にはハードルが高く感じました」
いわゆる就職氷河期世代で高卒の榎さんにとって、正社員で採用されることはかなり困難だったようだ。
「よく、街でティッシュを配ってるじゃないですか。『女の子限定。お話しするだけで高額収入』なんて書いてあって、さすがにそれは『いくらなんでも怪しい』と思ってたんですが、借金は一向に減らず、手元にあるお金はどんどん減っていく。それであるとき、『今のアルバイトだけでは、もう先が見えないな。キャバクラは無理だけど、スナックくらいならできるかな』と思って面接に行ったんです」
面接場所に指定されたのは、都内の喫茶店。面接担当の男性と小さなテーブルを挟んで座り、質問に答えていると、突然男性が榎さんの手を掴み、自分の股間に持っていった。
「お客さんにこういうことされるけど、笑顔で返すんだよ?」
榎さんが半ばパニックになって固まっていると、男性の股間は大きくなってくる。びっくりした榎さんが手を振りほどくと、男性はニヤニヤ笑いながら、「(採用の合否の)結果はまたお知らせします」と言って去っていった。
「そのとき思ったんです。『あれを笑顔でかわすのは無理だな』と。でも、『いきなりされるのは怖いけど、最初から触らせることが前提になってたら怖くないかも』と思って、デリヘルに応募したら通ったんです」
触らせることが前提なら怖くない? 筆者が真意を測りかねていると、
「デリヘルで出会った子たちは、たいていの子が『キャバクラは無理。駆け引きなんてできない。触ることが確定してるほうがなんぼかマシ』って言ってて、すごく共感しました」
と言葉を重ねた。

