「じゃ、くれぐれも、フルレン即バックタイトルで、よろしく」

ツタヤ川崎駅前店の朝礼に出ていたら、店長の原貴志さんが、聞き慣れない用語を使って従業員に訓示していた。

「フルレン」とはフルレンタルのことで、たとえば10枚在庫がある人気商品のDVDがすべて貸し出されている状態をいう。「即バックタイトル」とは、貸し出されたDVDが返却されたら、レジの後ろなどに放置せず、すぐに陳列棚に戻しておくことだ。

午前9時45分を皮切りに、13時、15時、18時、22時(いずれも15分前から)と5回行われる。

午前9時45分を皮切りに、13時、15時、18時、22時(いずれも15分前から)と5回行われる。

レンタルビデオ店で利益を最大にするには人気作品の回転率を上げなくてはならない。そのため、「フルレン即バック」を実行することが重要なのだ。

ツタヤ川崎駅前店はDVD、CDのレンタル、ゲームソフトのリサイクル(買い取り、中古販売)を行っている。店舗面積は300坪で、DVDの在庫だけで約8万タイトル以上もある。全国でも屈指の規模で、売り上げでは渋谷、新宿の2店と並び、全国トップスリーにランクされている。1日の来店客数は1500人以上。それだけの来店客を店長以下5人の正社員、63人のアルバイト、パートが交代制で対応している。

原店長は「朝礼は1日に5回やっています」と説明する。

「当店には早番、中番、遅番と3つのシフトがあり、そのほかにも出勤時間の違う従業員がいるからです。時間は15分くらいで、内容は前日の売り上げの発表と、その日の売り上げ目標の確認。それと、人気作品の紹介やキャンペーンの内容説明を詳しくやります。お客さまからの問い合わせに対して、何でも答えられるようにしておくためです」

パート、アルバイトといった非正規従業員は今やどこの職場でも欠かせない戦力だ。彼らのやる気を引き出し、売り上げを上げるのが店長の役目であり、ツタヤの朝礼はそうした目的達成のための重要なコミュニケーションツールとなっている。

(尾関裕士=撮影)