世界中から大注目、感動的なアバター卒業式

私が学長を務めるBBT大学・大学院は入学手続きから授業料の納付、学位の取得に至るまで100%オンラインで完結するサイバー教育を謳っている。さりながら卒業のときだけは苦楽を共にした仲間で集まって帽子を投げようということで、毎年、ホテルのバンケットルーム(宴会場)で盛大な卒業式と謝恩会を催してきた。2020年もそのつもりで準備してきたところに吹き込んできたのが、春風ならぬ、新型コロナウイルスである。それならばと思いついたのが、アバターを活用したオンライン卒業式だ。

BBT大学のアバター卒業式(2020年3月28日)。
BBT大学のアバター卒業式=2020年3月28日。(写真=佐治純一)

アバターの直訳は「化身」。ネット上でユーザーの分身として登場するキャラクターのことだ。今回、BBT大学の卒業式に使わせてもらったのは、ANAホールディングスが開発した普及型アバターロボットの「newme(ニューミー)」である。このアバターロボットは、顔がタブレットのディスプレイになっていて、4輪の台車で自由に移動できる。

式では卒業生を代表して経営学部の卒業生2人と経営大学院の修了生2人がそれぞれの自宅からアバターをリモート操作。他の卒業生はZoom(ビデオ会議アプリ)を使ってオンラインで視聴参加した。

卒業ガウンを羽織り、帽子を被ったアバター。顔のタブレットには操作する卒業生の顔が映っている。司会進行から名前を呼ばれると学長である私の前にアバターが進み出て、読み上げた卒業証書を礼儀正しく受け取った。

「卒業おめでとう」と声をかけると、「ありがとうございます」という当人の声がアバターから聞こえてくる。