地方のリーダーが存在感を高めている

新型コロナウイルスの感染対策を巡って、地方のリーダーが存在感を高めている。

大阪府の吉村洋文知事
大阪府の吉村洋文知事。(Pasya/アフロ=写真)

2020年3月13日には新型コロナウイルス感染症を『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の対象に加える改正特措法(最長2年の時限立法)が成立、翌日に施行された。同法によれば政策の総合調整は国が行うが、外出自粛や休業要請などの「要請」、より強力な「指示」などの具体的な措置権限は基本的に都道府県知事にあるとされている。

20年4月7日、改正特措法に基づいて安倍晋三首相は7都府県に緊急事態宣言を発令、16日には緊急事態宣言の対象地域を全都道府県に拡大した。緊急事態宣言下では対象地域の都道府県知事にはさまざまな権限が付与される。まずは法的根拠に基づいて外出自粛や営業自粛の要請・指示ができるようになった。ただし、要請・指示に従わなくても罰則規定はない。

一方で必要な医薬品や食料品の売り渡しを業者に要請したり、臨時の医療施設などを開設するために土地や建物の供出を求めることもできる。これらには一定の強制力があって、正当な理由がなく応じない場合には強制的な収用が可能で、従わなければ30万円以下の罰金が科される。

こうした権限委譲も相まって、緊急事態宣言後はより一層地方のリーダーの手腕に注目が集まるようになった。今や世界最大の新型コロナ感染都市になったニューヨークでは、感染対策の陣頭指揮を執るアンドリュー・クオモ州知事の危機管理能力が称賛を浴びている。危機対応や経済活動の再開を巡ってトランプ大統領としばしば対立、コロナ対応で支持率を下げたトランプ大統領に対してクオモ州知事を民主党の次期大統領候補に推す声まで聞こえてくる。