人に選ばれる製品を生み出すには、どうすればいいのか。デザインスクール出身で、Takramディレクター・ビジネスデザイナーの佐々木康裕さんは「人は無意識に選択し決断する生き物だ。買い手のモードを『論理』ではなく『感性』に切り替えられなければ、商品は売れない」という――。

※本稿は、佐々木康裕『感性思考 デザインスクールで学ぶMBAより論理思考より大切なスキル』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

揺れる
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アイデアを形にするには「とにかく手を動かしてみる」

私はデザインスクールに通っているときに、先生たちにいつも「考える時間が長すぎる」と注意を受けていました。

当時の私はアイデアを何か思いついても、「これをどうやって形にすればいいんだろう」「いや、やっぱり、このアイデアだと作るのに時間がかかりそうだ」と考えるすぎた傾向にあり、それを具体的に形にする、ということが頭の中だけでゴチャゴチャ考えてしまい、行動に移せませんでした。

重要なのは、とにかく手を動かしてみること。イラストを書いてみたり、段ボールでそれっぽいものを作ってみたり、何でもいいから形にしてみると、「このアイデアじゃうまくいかないな」「それなら、この部分を変えてみよう」と発見があり、次のアイデアにつながります。

この試行錯誤を何十回も繰り返した先にあるのが、今までにない新しい商品やサービスです。私も美術や工学のスキルはないので、最初はこのような形にする作業がなかなかできなかったのですが、トレーニングを積み何とかできるようになりました。