AI時代に活躍できる人材とは何か。脳科学者の茂木健一郎さんは「人間にできて、AIにできないことは動くことだ。どれだけ粘り強く行動できるかが、AI時代における成功のカギになる」という――。(第2回)

※本稿は、茂木健一郎『「超」すぐやる脳のつくり方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

オフィスで会議中のビジネスパーソン
写真=iStock.com/VioletaStoimenova
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脳科学者が考えるヒット作を生み出すのに必要なこと

ビジネスにおいて、日本国内のマーケットに乗るべきか、それとも海外のマーケットに乗るべきかという、まったく予測がつかないことが多くのビジネスパーソンにとっての悩みの種となっています。つまり、マーケット自体がボーダレスになってきたというわけです。

「どうやってヒット商品を生み出すか」
「どんなビジネスがマーケットに乗るのだろうか」

こんな悩みを抱えるビジネスパーソンも少なくないでしょう。もちろん、この答えを簡単に出せるのであれば何の苦労もいりません。

正直なところ、僕にもその答えはわかりません。ただ、脳科学者としてひとつ言えることは、自分がやっている仕事が楽しいかどうかです。

「超」すぐやる脳のつくり方』で、僕の『生きがい』という本が2024年にドイツで38週間連続1位という快挙を成し遂げ、年間ベストセラー1位を獲得したとご紹介しましたが、実はスイスでもベストセラー1位になり、ポーランドでも1位になったそうです。しかし、なぜこの本が海外でマーケットに乗ったのかはいまだによくわからないのです。

つまらないことは放り投げちゃってもいい

ただ、この本を執筆していたときのことを思い返すと、原稿を書いていることが心底楽しかったのです。いまでも「あー、いい仕事ができたな」という満足感があります。海外でベストセラーになったのは結果であって、「やっていて楽しければいい」という考え方そのものが『生きがい』という本の思想にもつながっています。

それは、たとえば絵を描く人であれば、絵が展覧会で評価されたり、売れたりするとうれしいわけですが、絵を描いていること自体が楽しければ、そこに生きがいを見つけることができ、満足感を味わうことができます。

ただ、このような話をすると決まって「サラリーマンは楽しいことばかりやってはいられない。つまらない仕事もやらなければいけないんだ」とおっしゃる方がいます。でも、僕はむしろ「つまらないことは放り投げちゃってもいい」ということをこの本で声を大にして皆さんに伝えたいのです。

こう断言する根拠は、もちろんあります。ご承知の通り、いまはAIがどんどん進化していますよね。