霞が関で医療産業振興の観点から医療ツーリズムの基盤整備に積極的なのが経済産業省だ。6月の新成長戦略の閣議決定を受け、「8月から医療通訳の育成を含めた国際医療交流人材支援事業をスタートさせ、これから高度医療を行える病院のネットワークづくりなどに着手しているところ」(商務情報政策局サービス産業課)という。

しかし、その一方で厚生労働省は「国民の医療を阻害しない範囲ならば」(医政局)と一歩引いた構えを崩さない。また、訪日外国人を19年までに2500万人に増やす数値目標を掲げる国土交通省は、観光庁を通した海外へのプロモーションや観光ニーズに応えるツアーの多様化、高付加価値化を目指すが、医療は訪日客がもたらす経済波及効果の一つとしてオプション的な位置づけにとどまる。

(PANA=写真)