医療ツーリズムを育て定着させていくためには、いま一度、医療の国際化とは何か、現場の視点で捉え直すことが必要だろう。この点について癌研究会のインターナショナルセンターの金起鵬センター長は、「いまのような検診ツアーは持続可能なのかはなはだ疑問だ。われわれの課題は、患者から求められる高度医療をどこまで提供できるかにある。そのためには、国際化に向けた医療サービスの標準化が何よりも重要だ」と語る。

癌研究会の有明病院は、1908年に創設された財団法人癌研究会が運営するがん専門病院で、05年に現在の東京・臨海副都心に移転。外国人患者治療のパイオニアとして年間200人以上の外来や入院を受け入れている。そして、移転の年に掲げられた「がん医療において世界に誇れる病院になる」というビジョンの実現に向け、外国人患者受け入れ窓口として創設されたのが同センターだ。

(坂井 和、本田 匡=撮影)