医療ツーリズムには「医療」と「観光」という本来異なる領域を結びつけた目新しさがあり、各方面から強い関心と期待が集まっている。そして、徳島や長崎の関係者には問い合わせが殺到し、そのなかには地方の運送会社からの電話もあったという。もしかして、彼らの頭のなかには銀座の百貨店や秋葉原の家電量販店に群がる中国人観光客の“爆買い”シーンが思い浮かんでいたのかもしれない。

前出の亀田理事長は「本来、医療ツーリズムでそう利益が出るわけではない。むしろ医療サービスの裾野が広がることで得る効果に目を向けるべきだ」と苦言を呈する。観光と医療をごちゃまぜにしたまま急成長分野であるかのように煽り、医療ツーリズムという言葉を一人歩きさせているメディアの責任も大きい。

(徳島県=写真提供)