日本企業による海外のスタートアップ視察が、現地で敬遠されることがある。事前の情報収集が足りず、何をしたいのかが明確ではないことが原因だ。どうすればいいのか。イスラエルに詳しい、一橋大学名誉教授の石倉洋子氏らが解説する——。

※本稿は、石倉洋子、ナアマ・ルベンチック、トメル・シュスマン『タルピオット イスラエル式エリート養成プログラム』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。

2人のビジネスパーソンが握手している、下からのショット
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「とりあえず行く」では成果は上がらない

情報が氾濫する現代では、闇雲やみくもに情報を集めるアプローチは以前より低コストでできるが、リターンは極めて低い。にもかかわらず「イスラエルでいろいろ起こっているようだから、とにかく情報を集めてこい」という会社の指示を受けて、イスラエルでテクノロジーを探そうとする担当者は多いようだ。

行き先がイスラエルの場合に限ったことではないが、日本からの視察団の中には、まったく事前の準備をせず「とりあえず行けば何とかなるのでは」という発想で訪問する企業も多い。現地のスタートアップ関係者からは、「日本企業と会っても、まったく質問が出ないし、イスラエルのスタートアップに何を求めているか、説明できないことも多い」という声が聞かれた。しかしそれでは、具体的な案件にはつながらず、受け入れる側にしてみれば単なる「時間の無駄」になってしまう。