日本とイスラエルが急接近している。イスラエル企業の経営に携わった経験を持つ平戸慎太郎氏は「イスラエルのスタートアップは中国企業より日本企業に魅力を感じている」という。その理由とは――。

※本稿は、平戸慎太郎『ネクストシリコンバレー』(日経BP)の一部を再編集したものです。

テル ・ アビブの塔と空中イスラエルの空行
写真=iStock.com/WangAnQi
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「シリコンバレーよりテルアビブ」日本企業がイスラエルに熱視線

欧米やアジアの諸国に比べて、どうしても日本人から「縁遠い」国だったイスラエルだが、その「距離」は今後、ぐっと近くなりそうだ。

平戸慎太郎『ネクストシリコンバレー』(日経BP)
平戸慎太郎『ネクストシリコンバレー』(日経BP)

世耕弘成経済産業相(当時)は2019年の年明け早々、イスラエルに飛んだ。

テルアビブでネタニヤフ首相と会談し、ITを使った医療分野で日本とイスラエルの企業の開発協力などを促していくという覚書を結んだ。協力の枠組みがこれまでのサイバーセキュリティーから拡大。両国間の連携がさらに強まる見込みだ。

さらに2019年5月には、イスラエルの航空会社エルアル・イスラエル航空が、成田空港とテルアビブのベングリオン空港を結ぶ初の直行便を2020年3月から週3便就航させると発表した。これまでは乗り継ぎで16時間以上かかった所要時間が、直行便で11~12時間30分ほどになり、大幅に短縮される。

直行便が運航される背景には、急速な需要の拡大がある。直近4年間でイスラエルに進出、または投資した日本の企業は80社を超え、その投資額は120倍に成長(2017年で約1300億円)。2018年の日本からイスラエルへの訪問者は、2016年比で65%増の約2万人に達した。また、イスラエルから日本に訪れる人も4万人を超えた。まさに切望されての直行便である。

こうしたことから、2020年はイスラエルと日本で観光やビジネスにおける関係がより強固になる年として期待が高まっている。